カワサキの「Z」と言えば、ホンダの「CB」と並ぶ、代表的なバイク車種です。

元をたどれば、1972年に発売されたZ1、翌73年国内向けに発売されたZ2で、ティアドロップ型のタンクからテールカウルまで、流れるような有機的デザインとともに大きな人気があります。

しかし一方では、同じエンジンで角張ったデザインの「角Z」と呼ばれるシリーズもあります。その魅力を探ってみましょう。

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曲線から直線へイメージを変更したZ1000

Z1やZ2の流麗なスタイルは魅力的ですが、発売後5年以上経過した1979年、カワサキはZ1の後継機種としてZ1000MkII(マークツー)を投入しました。

最大の特徴は、方針を180度転換したとも言える直線基調のスタイルで、エッジの効いたタンク、三角形のサイドカバー、末端を切り落としたようなテールカウルと、それまでもカワサキファンの度肝を抜くものでした。

イメージチェンジは徹底して行われており、丸かったカムカバーも四角に、ディスクには穴が開けられ、4本あったマフラーは2本に変更されていました。またホイールはキャスト製で、いかにも質実剛健な「男カワサキ」というイメージが非常に強いです。

国内向けはZ750FX

1979年当時の日本では、バイクの排気量を750cc以下とする自主規制が行われていましたので、最大排気量だったZ750FOUR(いわゆるZ2の最終型)は、Z1000MkIIと全く同じスタイルのZ750FXにモデルチェンジされました。

内部も熟成されており、フルトランジスタ点火、自動カムチェーンテンショナ、ジェネレーターコイルがインナータイプに変更されています。

しかし、当時の日本のバイク免許制度は、大型二輪免許の合格率2%と言われるほどの狭き門で、400ccまでの中型が主流でした。

「大型に乗りたいけど、免許制度のためになかなか乗れない」という時代だったのです。

またライバル車が高性能化していくなか、1980年でZ750FXの製造は終了しました。

甦ったZ~高まる人気

わずか2年しか製造されなかった角Zですが、今では大変な人気があります。

その理由は、大型免許が取りやすくなったこともありますが、2年しか製造されなかったためにレアなバイクであること、基本設計がしっかりしているエンジンなため、現代でも十分な性能があり故障しにくいこと等があります。

しかし何と言っても一番の魅力は、遠くから見ても一目で「角Z」と分かるスタイルでしょう。
「唯一無二、カワサキらしい、荒々しい、ストイック」

そんな言葉が浮かんできます。バイクは趣味性の高い乗り物ですから、乗っている車種やカスタムでライダーは自己主張します。角Zは、そんな気質のライダーから絶大な人気を得ています。

まとめ

この角張ったスタイルは、Z1300にも引き継がれ、カワサキ製バイクのイメージ戦略に一役買ったと言えます。中型で人気だったZ400FXの角張ったスタイルも、この流れを汲むものです。

製造後30年以上経っても、角Zの持つ独特の雰囲気は、今後も衰えず引き継がれていくに違いありません。