世界最速と呼ばれるバイクを幾つも製造してきたカワサキですが、現在、「H2(エイチツー)」と名付けられたバイクがあります。

一見して、「このバイクはただものではない」と思わせる迫力に満ちています。そんなH2について徹底解説します。

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独創のメカニズム

(1)トレリスフレーム

H2のスタイルでまず目を引くのは、フレームです。

同社がかつて販売していたZZR1100のように、ハイパフォーマンスマシンは時として極太フレームを誇示するものですが、H2のフレームは「トレリスフレーム」と呼ばれる、細い鋼管を多関節に組み合わせた、三角形に近い形をしています。

(2)スーパーチャージドエンジン

エンジンも独創的で、吸気をより効率的に行うため、スーパーチャージャーを搭載しています。これは排気ガスを使ったターボに比べ、タイムラグが少ないというメリットがあり、レスポンスが求められるバイクにとっては好都合なメカです。

しかも軽量化させるためにH2にはインタークーラーがなく、吸気が通過するエアクリーナーボックスやファンネルを熱伝導性のいいアルミ製にして一気に冷やしてしまおうというものです。

(3)多岐に渡る開発部門

この独創的なエンジンは、川崎重工業社内の航空宇宙カンパニー、ガスタービン・機械カンパニー、技術開発本部の技術協力により製作されており、車体のデザインも航空宇宙カンパニーの技術が使われています。

圧倒的ハイパフォーマンス

つまりH2とは、カワサキ製バイクと言うよりは、川崎重工が総力をあげて作った乗り物だということです。

性能もすさまじいもので、2017年にマイナーチェンジが行われた結果、

最高出力:205ps/11000rpm
最大トルク:13.6kg-m/10000rpm
装備重量:238kg

となっています。

実にパワーウェイトレシオが1kgちょっとです。

通常のリッターバイクが2kg前後ですから、いかに凄いものかが分かるでしょう。

また、H2のレーシングマシン仕様の「H2R」は、時速400キロという途方もない最高速を記録しています。

まだまだあります。

生産および部品選別は、ほとんどが手作業です。

塗装には量産車としては初とされる銀鏡塗装が用いられており、その塗装の傷を見落とさないように製造ラインは特別に明るくされているなど、前代未聞のことばかりです。

まとめ

「H2」というネーミングは、1970年代に製造されていた2スト3気筒マシン「750SS H2」に由来しています。

2ストローク750ccですから、かなりの暴れ馬だったことは疑う余地がありません。H2というバイクは、そうした最速伝説を現代に引き継ぐバイクでもあるのです。