1960年代から80年代にかけて、2ストロークエンジン(以下「2スト」)を搭載したバイクはたくさん製造されました。

しかし今や、新車で購入できる2ストバイクはありません。なぜ製造されなくなってしまったのでしょうか。

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理由は排気ガス

結論から言うと、2ストバイクが「絶滅」してしまった理由は、排気ガスにあります。

2ストエンジンは、吸気と排気がシリンダーの中で混じってしまうという構造上の欠点があり、そのため、燃料やオイルが排気されてしまいます。

2ストエンジンの動画などを見ると、必ずと言っていいほど、白煙を吐きながら走っています。白いのは、オイルが燃えている証拠です。

オイルを消耗する、臭いがする、オイル管理が難しい、ピストンがシリンダーに抱きつく恐れがある、パワーバンドが狭い、低速トルクが薄い等、2ストエンジンが持つ欠点が、時代の要請に合わなくなってきてしまったと言えます。

燦然と輝く2ストの名車たち

しかしかつては、2ストエンジンを積んだ名車が数々ありました。国産で代表的な車種をあげてみましょう。

ホンダ:NSR250
ヤマハ:RZ250、RZ350、RZV500R、TZR250
スズキ:RG250ガンマ、RG400ガンマ
カワサキ:500SSマッハⅢ、750SS(H2)

どのバイクも、その時代を拓き、またその時代のライダーから熱く迎え入れられたバイクです。中には、「ナナハンキラー」、「3速までウィリーする」、「走ったあとは煙がたなびいている」など、圧倒的な存在感を誇った車種もありました。

今見ても、2ストエンジンらしいシンプルでシャープなスタイリングは、美しくすら感じます。

またクランク回転数あたりの爆発回数で比べれば、4ストエンジンの2倍あります。レーサーは2ストエンジン全盛期がありました。

環境負荷は排ガスだけではない

このように絶滅してしまった2ストバイクですが、新車で製造されなくなっただけで、天気のいい休日などは、元気に走っている姿を見ることができます。

そして、その勇姿を見て思うのは、果たして環境負荷は排気ガスだけなのだろうかということです。

バイクが環境に与える影響や負荷は、排気ガスだけではなく、そのバイクを製造するために使われたエネルギーも考慮すべきものです。

その点、2ストエンジンは部品点数が少ないため、製造における環境負荷=部品を製造するために使うエネルギーは少ないはず。真の環境負荷とは、そこまで考慮しなければならないと思います。

まとめ

排気ガスと言えば、かつて「遅い、臭い、汚ない」と言って嫌われた乗り物があります。日本で電気が普及するにつれて、それはあっという間に駆逐されてしまいました。

蒸気機関車です。今や、大人気ですね。

トルクが薄いという2ストエンジンの特性上、今後蒸気機関車のように復活することはないでしょうが、4ストエンジンにはない優れた面があることは知っておいていただきたいと思います。