歴史に残る名車というものがあります。カワサキでは、1972年に発売された900ccのZ1、そして73年にZ1を750ccにスケールダウンして国内向けモデルにしたZ2(750RS)がその代表でしょう。
そして今、Z1とZ2を彷彿とさせるZ900RSが販売されています。その魅力を探ってみましょう。
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伝統のカワサキスタイル
Z1の革新性は、1970年代当時、2気筒エンジンが主流だった時代に高性能4気筒DOHCエンジンを搭載して登場したことと、その流麗なスタイルにあります。
そして、Z900RSのデザインモチーフは、形、色、デザインともにZ1の《火の玉タンク》と言われるタンクにそっくりなのです。
ティアドロップ(流線型)の形、茶色ベースで左右中央がオレンジ色のグラフィック、サイドカバー、リアカウル、テールランプ、黒塗りエンジン、黒いバックミラー等は、Z1によく似ています。
そこには、奇をてらわない、バイク本来の姿があります。
中身はハイテク
しかしZ900RSは、単なるレトロ趣味のバイクではありません。各部を見ていくと、まず目につくのが110馬力を発するインジェクション式水冷エンジンです。
次に、エンジン横幅を抑えるためのサイドカムチェーン、路面追従性に優れたモノサスなどが現代的なところです。
マフラーは、かつての4本マフラーではなく、軽量化や消音性に優れた1本マフラーです。モノサスをシート下に収納しているため、写真では腰高に見えますが、実車ではさほどではありません。
また、倒立式前輪サス、フローティングダブルディスク、フロント120/70-17、リア180/55-17のタイヤサイズ等、「走り」の面もおろそかにはされていません。
かつて販売されていた「ゼファー」シリーズが、売れ行き自体はよかったものの、パワーの点ではライバル車に及ばなかったことを考えれば、110馬力というのは必要十分なパワーと言えます。
つまりZ900RSとは、名車のスタイルとテイストに、現代的ハイテクを巧みに融合させたバイクであると言えるのです。
カワサキの900ccには意味がある
ふりかえってみれば、900ccというのは、カワサキにとって「マジック」とも言える、エポックメイキングなバイクに使用された排気量でした。
まずは1972年、空冷DOHC4気筒で世界を席巻したZ1。
そして1984年、水冷DOHC4気筒・16バルブエンジンで再び世界を制覇したGPZ900R。
このバイクは映画「トップガン」にも登場し、2003年まで延べ20年もの長きにわたって製造されました。「Ninja」というニックネームでも知られます。
そして今回登場したZ900RS。
カワサキにとって、900ccというのは意味がある排気量です。リッタークラスより軽いながら性能では匹敵し、750ccを遙かに超えるパフォーマンスを発揮できる排気量でもあるのです。
まとめ
Z1やZ2に似たスタイルで登場したZ900RSですが、中身は現代のバイクらしいハイテクに満ちています。
900ccという排気量は、Z1およびGPZ900Rと、カワサキにとっては世界を席巻してきたバイクの排気量でした。
このZ900RSもまた、歴史に残るバイクに違いありません。