どの時代にも、エポックメイキングなバイクがあります。750ccクラスなら1969年に発売されたCB750FOURですし、400ccマルチエンジンなら1979年に発売されたZ400FXです。
今でこそ400ccマルチシリンダーは当たり前ですが、その起源をたどると、実質的にはZ400FXにたどり着きます。現代の400ccの原点を作ったバイクだと言えるでしょう。ここでは、Z400FXの魅力を探ってみます。
スポンサーリンク
誰もが4気筒を求めていたという背景から生まれた名車
当時の二輪免許制度は、大型・中型・小型に別れており、大型は試験場で技能試験に合格しなければならないため、バイクで人気だったのは400ccでした。
しかし、カワサキも含めて400ccはどれも2気筒。大型に乗りたくても乗れない世相において、大型と同じ雰囲気を味わえる4気筒のニーズは高まっていました。
大柄な車体、エッジの効いたスタイル
そこへ登場したのがZ400FX(以下「FX」)です。以前カワサキにはZ400TやKH400がありましたが、前者は2気筒、後者は2サイクル3気筒と、一部ユーザーに人気はありましたが、人気車種とも言えず低迷。そこに発売された、スリムで直線ベースのシャープなスタイルのFXは、またたく間に大人気となりました。
メカニズムとしては、DOHC2バルブ4気筒、399cc、43馬力、6速ミッション、当時の販売価格は385千円です。15リットルのタンク容量は少なめですが、これもスタイルを優先した結果であり、高いシートも手を加えず、そのまま乗っているライダーが多いのも特徴でした。
しかしFXが爆発的に売れているのを、他メーカーが黙って見ているわけがありません。ホンダからはCBX400、ヤマハからXJ400、スズキからGSX400Fと、4気筒マシンが続々登場し、国内中型バイク市場は、百花繚乱の様相を呈してきます。
なお400cc4気筒は、2気筒に比べてシリンダー1回あたりの爆発力は少ないです。しかし反面、高回転には向いていますから、高回転高出力という流れは、この時代からできたとも言えます。
高まる人気
21世紀になってバイク人工は減少の一途をたどっていますが、1970年代のバイクは大変な人気があります。FXも例外ではなく、40万円以下だった定価も、今では100万、200万という値がつけられています。
他にもこうした高額で取り引きされているバイクは多数ありますが、その最大の理由は、現代のバイクにはない雰囲気を持っているからです。ライダー人工が減少すれば、メーカーが製造する車種も台数も減少するのは当然です。
しかし70年代、80年代はバイクブームでしたから、たくさんの車種が生まれました。そうした時代背景にあって製造されたバイクには、開発車が込めた夢、独創、勢いというものが感じられます。人はそれに惹かれるのでしょう。
まとめ
FXのシャープなスタイルは今見ても美しいです。現代のバイクに比べると細長く見えますが、それが旧車の魅力でもあります。
現実的には改造された個体が多いですが、1970年代に製造されたZ400FXの雰囲気はもはや得られないものです。